建築・製造業では、人手不足・現場負荷・長時間労働など複数の要因が重なり、
メンタル不調者が増えるリスクが非常に高い 産業です。
「また一人、メンタル不調で休職に入ってしまった…」
「相談してくれれば早く気づけたのに」
「現場の管理職にどう伝えればいいのか…」
そんな風に、胸が重くなる日が続いていませんか?
この記事では、
人事・安全衛生担当者が本当に知りたい現場で使えるメンタル不調対策 を、同じ立場の経験者として体験した内容を基にまとめています。

メンタル不調になりやすい人の共通する特徴
メンタル不調は、本人の申告よりも
「行動・業務・態度の変化」として先に現れます。
以下は、チーム長・安全衛生・人事担当者が業務中に見分けるための特徴です。
① 業務量・残業が特定の社員に偏り続けている
【担当者目線での気づきポイント】
- いつも同じ社員に業務が集中している
- 業務調整を提案しても「自分がやります」と引き受けてしまう
- 残業時間が慢性的に高い状態が続いている
【なぜ注意が必要か】
業務過多が常態化すると、疲労の蓄積 → 判断力低下 → メンタル不調へと
進行しやすくなります。
本人が「大丈夫」と言っていても、限界に近づいている可能性があります。
【確認・対応のヒント】
- 業務分担が固定化していないかを定期的に確認する
- 「断りにくい職場構造」になっていないかを見直す
- 管理職が業務量を把握できているかを確認する
② 真面目で責任感が強く、抱え込みやすい社員
【担当者目線での気づきポイント】
- 指示以上のことまで一人で対応しようとする
- 困っていても周囲や上司に相談しない
- トラブル時に「自分の責任です」と抱え込む発言が多い
【なぜ注意が必要か】
責任感の強さは強みである一方、限界を超えても無理をしてしまう
傾向があります。
本人が不調を自覚した時には、すでに休職・離脱寸前というケースも少なくありません。
【確認・対応のヒント】
- 定期的に「業務の困りごと」を聞く場を設ける
- 成果だけでなく「プロセス」も評価する
- 相談すること自体を評価する職場風土をつくる
③ 体調不良やヒューマンエラーが増えてきた社員
【担当者目線での気づきポイント】
- 遅刻・欠勤・早退が以前より増えている
- 軽微なミスや確認漏れが目立つようになった
- 「眠れない」「疲れが取れない」といった発言がある
【なぜ注意が必要か】
メンタル不調は身体症状や作業ミスとして先に現れることが多く、
特に建築・製造業では労働災害リスクの増大に直結します。
「不注意」や「慣れ」の問題として処理すると、重大事故につながる恐れがあります。
【確認・対応のヒント】
- 勤怠データやヒヤリ・ハットの変化を定期的に確認する
- 体調面からの声かけを行い、業務量を見直す
- 管理職と情報共有し、早期フォローにつなげる
④ 周囲とのコミュニケーションに変化が見られる社員
【担当者目線での気づきポイント】
- 以前より会話が減り、必要最低限の受け答えしかしなくなった
- 報告・連絡・相談のタイミングが遅くなっている
- 表情が硬く、声掛けに対して反応が薄い
【なぜ注意が必要か】
メンタル不調が進行すると、他者との関わりを避ける行動が増えていきます。
コミュニケーション不足は作業ミス・連携不良・安全確認漏れを招き、
現場の安全性そのものを低下させる要因になります。
【確認・対応のヒント】
- 業務外の雑談や業務確認の中で自然に声をかける
- 叱責ではなく「困っていることはないか」を軸に聞く
- 管理職だけに任せず、人事・安全衛生で情報共有する
⑤ 配置転換・昇進・役割変更後に様子が変わった社員
【担当者目線での気づきポイント】
- 異動や昇進後に発言や行動が消極的になった
- 新しい業務に対して過度に不安そうな様子が見られる
- 成果が出ていないことを強く気にしている
【なぜ注意が必要か】
配置転換や役割変更は、本人にとって大きな環境変化・心理的負荷になります。
適応できない状態が続くと、自己否定感の増大やメンタル不調に発展しやすく、
離職や休職につながるケースもあります。
【確認・対応のヒント】
- 異動後1〜3か月のフォロー面談を必ず実施する
- 「慣れればできる」という前提を置かず、業務負荷を確認する
- 適性・役割の再調整も選択肢として検討する
あなたの会社で実際に当てはめてみよう

先程解説した①~⑤を読んでいる時に、あなたは会社に実在する誰かが思い浮かんだはずです。
「他の人にも当てはまるかもしれない」
「あの社員のことではないか」
そう感じとれる人は何人いましたか?
しかし、多くの人事・安全衛生担当者が次に悩むのが、
「では、どの時点で注意すべきなのか」
「どこから対応すればよいのか」 という判断部分です。
そこで、簡単に行動に移せるように、チェックリストと、結果をどのように受け止め、判断すべきかの注意点をまとめたツールを作成しましたので、あなたの提案として活用してくださいね。
「この結果の見方に迷ったら…」
このチェックリストは、社員のメンタル不調リスクに気づくための整理ツールです。
チェックが複数付いた場合や、
「対応すべきか判断に迷う」
「社内だけで進めてよいのか不安を感じる」
といった場合は、第三者の視点を入れて状況を整理することが有効です。
人事・安全衛生担当者が一人で抱え込まず、
現場の状況に即した初期対応や判断の考え方を知りたい方は、
専門家による個別相談もご活用ください。

早期の「気づき」と判断の整理が、重症化を防ぐ
メンタル面に着目した取り組みは、まだ歴史が浅く、多くの企業が悩んでいる段階であり、取り組み方に正解はありません。
だからこそ、今回の①~⑤のチェックリストのように、まずはデータを取って分析し、小さな変化を見付けて早期に対応する事が重要になります。
「問題が起きてから対応すること」ではなく、
違和感に気づいた時点で、状況を整理し、適切な判断につなげましょう。
もし、チェック結果の読み取りや対応の進め方に迷った場合は、
担当者一人で抱え込まず、第三者の視点を取り入れることも選択肢の一つです。
現場に合った対応を検討することが、結果的に社員と企業の双方を守ることにつながります。

