「人を守る会社・守らない会社」の違い
転職活動を進めていると、企業の紹介文にこのような文字を見かけませんか?
「安全を最優先に考えています」
しかし、実際にそういった企業に入社すると、他の会社と大差がないどころか、労災件数が多いなんて事がよくあります。
今まで何件かの企業に転職した経験を基に、ISO(EMS)内部監査員としての視点で見てみると、意外にも多くの「なんで?」が見つかりました。
今回は、企業の安全衛生体制を見る立場から見えた、
『人を守る会社・守らない会社の決定的な違い』をお話しします。
「守らない会社」に共通する特徴
今までいろいろな企業を見てきましたが、多くの企業では安全を意識していると入社前には言っていますが、その実態のほとんどが予算次第であったり、昔からの習慣を変えれていない企業でした。

どんな企業でも、支えているのは社員による活動です。
しかし、今まで何とかやってきてしまい、変化を恐れる企業ほど、上記の内容ができておらず、一部の社員に任せっきりになっていました。
「人を守る会社」は何が違うのか
今度は、「人を守る企業」の特徴について見てみましょう。
私が今までに見てきた企業で、「この企業は凄い」と感じた内容がこちらになります。

残念ながら、この内容は1つの企業では無く、いろいろな企業で感じた事をまとめた状態です。
実際にあった納得の仕組み
例えば、ある企業では、事故が起きた際の原因追及シートでどの仕組みが悪いかだけを書き出す内容が記載されていました。
これは、毎回書かれるような「気のゆるみ・注意が散漫」などと言った個人の問題ではなく、仕組みにフォーカスした内容であり、再発防止を仕組みから考える素晴らしい活動です。
これを読んでいるあなたが安全衛生担当などであれば、
是非会社で提案してください。

最も重要なのは「人的資本」
人を守る会社の最も重要な考え方は、
「従業員は人的資本である」
と言った考え方になります。
どれだけAIが進化しても、どれだけ産業が進化しても、決断するのは人です。
人材こそが企業にとっての人財であり、人が働いてこそ企業が進化していきます。
【人材と人財の違い】

なぜこの違いが生まれるのか(ISOの視点)
このように、企業によってこの様な違いが出るのはなぜでしょう?
企業の監査を行う側として、大きな違いが出るのは、以下の内容が原因です。

この内容の共通点は、「有効性を重視しているか」という点になります。
現状で策定されたルールを完成とせず、常に改善されているかを確認している事が重要なのです。
あなたの会社は人を守る会社?
ここまでは、人を守る会社と守らない会社の特徴をご紹介しましたが、ここで気になるのは、実際にあなたが勤めている会社がどちらの会社に近いのか?と言った疑問ではありませんか?
なんとなくですが、こっちよりかなぁ~と言った雰囲気ではなく、チェックリストを使用して確認してみませんか?
見極めるためのチェックリスト
あなたの会社は「人を守る会社」?
当てはまる項目にチェックを入れてください。 チェック数が多いほど、人を守る仕組みが整っている可能性があります。
※ この枠内のみがチェックリストです
当てはまった項目はいくつありましたか?
その数が、あなたの会社が「人を守る仕組み」をどれだけ持っているかの目安になります。
チェック数別|解釈ガイド
✅ 0〜5個 注意が必要な状態
この結果の場合、
「人を守る仕組みが、会社として十分に機能していない可能性」があります。
- 安全や健康が「個人の注意力」に委ねられている
- 問題が起きた時、仕組みよりも人が責められやすい
- 表面上はルールがあっても、実態が伴っていない
HSP気質の方にとっては、
👉 無意識に気を張り続ける環境になりやすく、
👉 心身の消耗が蓄積しやすい状態です。
この段階で大切なのは
「自分が弱いのではなく、環境の構造に無理がある可能性がある」
と知ることです。
⚠ 5~10個 分かれ目のライン
3個当てはまった場合は、
「人を守る意識はあるが、仕組みとしては不安定」な状態です。
- 部署や上司によって差がある
- 良い取り組みが属人化している
- 事故やトラブルが起きた時に初めて動く
ISOやEMSの視点では、
👉 PDCAが回りきっていない状態
👉 「点」での対策に留まっている段階と言えます。
今後、改善される会社になるのか、形だけで止まる会社になるのか見極めが必要なフェーズです。
🌱 10~15個 比較的安心できる状態
4個以上当てはまる場合、
その会社は 「人を守ることを前提に設計されている」 可能性が高いです。
- 安全や健康が経営・管理職レベルで語られている
- 問題が起きた時に「仕組み」を見直す文化がある
- 安全衛生がコストではなく「人的資本への投資」として扱われている
HSPの方にとっては、
👉 無駄に気を張らずに働ける
👉 長期的に安心して力を発揮しやすい
相性の良い環境と言えるでしょう。
数字は「絶対評価」ではありません
大切なのは、チェック数そのものよりも 「なぜ当てはまらなかったのか」 です。
- 仕組みがないのか
- 仕組みはあるが運用されていないのか
- 現場に声が届いていないのか
この違いに気づけるかどうかが、
自分を守る転職・働き方選択につながります。
人を守る企業が得る利益
人を守る企業が得ている最大の利益は「離職率の低さ」や「評価」ではなく、
働く人が「安心して力を出せる状態」を維持できることです。
「安心して力を出せる状態」=「心理的安全性が高い環境」
これは、一般的な方はもちろんですが、HSPさんにとっても能力を発揮しやすい環境であり、発言・提案が出やすい為、それだけチャンスが増える事に繋がります。

人を守る企業は「消耗しない」
人をまもる企業の利点は、そこで働く従業員にも大きな恩恵があります。
その恩恵とは、気を使うなどの無駄な消耗が少ない事です。
入社したての頃を思い返してください。
- 上司は怒っていないか?
- もう一度質問したら、嫌な顔をされないか?
- 提案したら、生意気だと思われないか?
などと言った事で気を使っていませんでしたか?
この思考こそ脳のリソースの消耗です。
人を守る企業では、問題に対して個人を起こるのではなく、起きた仕組みを見直すようにして進んで行きます。

安全衛生が整う会社は成長が続く
安全衛生と聞くと、多くの人は
「事故を防ぐためのもの」というイメージを持つかもしれません。
しかし、ISOの観点から見ると、安全衛生は
事故を防ぐためだけの取り組みではありません。
本質は、「どんな仕組みがあり、それがきちんと見直され続けているか」
にあります。
そして、その見直しを支えている考え方がPDCA(計画・実行・評価・改善)になります。

PDCAが回っている会社は、問題が起きたときに止まるのではなく、
次に同じことを起こさない形へと進化していきます。
この積み重ねこそが、安全衛生が整っている会社が成長を止めない理由です。
人を守る環境を選ぶために、個人ができること
あなたが今の働き方を変えたいと考えたとき、
「人を守る企業」を選ぶことが、自分の将来と企業の成長の両方にとってプラスになることは、ここまででお伝えしてきました。
では、どうすればそのような企業を見分けることができるのでしょうか。
一つの判断材料になるのが、企業がISOなどの仕組みを導入し、継続的に運用しているかという点です。
私がこれまで関わってきた企業を見ると、
取り組み内容に「数値」や「目標」が明確に示されている企業ほど、人を守る意識が本気である傾向がありました。
転職者が出ない企業に共通するPDCA
人を守る企業の多くは、「問題が起きてから対応する」のではなく、
問題が起きる前提で、仕組みとして改善を回しているという共通点があります。
それこそが、PDCAサイクルです。
ここでは、離職対策を例にしたPDCAを書きだしてみましょう。

ISOを本気で運用している企業ほど、このようなPDCAを書類上ではなく、現場レベルで回しているため、結果として「人が辞めにくい環境」が作られていきます。
企業が持つべき守る仕組みを次のステップへ
これまでの記事では、
- ISO監査員の視点
- 現場で見える離職・安全衛生の実際
- PDCAによる改善
という形で「人を守る企業の特徴」をお伝えしてきました。ですが、知識を持っているだけでは運用・定着まで到達しません。
言い換えると、「仕組みを設計する」のと「実際に運用できるようにする」の間には、中間のステップが必要です。
特に日本企業では、
✅ 制度は整っている
✅ でも現場運用が弱い
というケースが珍しくありません。
ここをカバーするのが、仕組みを生きたものにする教育・対応力です。
管理職にメンタルヘルスの学習が必要なのか
現場のメンタル不調は、本人の問題ではなくマネジメント構造の問題として起きることが増えています。
特に管理職は、
- 部下の変化に気づけない
- どう対応していいのか分からない
- 問題が起きてから対応している
といった状態になりやすく、結果として休職・離職・職場不信に繋がります。
だからこそ今、「感覚」ではなく「知識」として学ぶメンタルヘルス対策が求められています。
本サービスで管理職が身につくこと
この研修では、管理職が現場ですぐに使える視点と判断軸を学びます。
それだけでなく、ISOの運用証拠(7.2力量・8.1 運用)としても使える内容です。
部下を守るためだけでなく、管理職自身が追い込まれないための学習でもあります。
「何かあった時に対応できる」ではなく、
「何も起きない状態をつくる」ための研修です。

人を守る企業は、特別なことをしているわけではありません。
事故やメンタル不調が起きてから対応するのではなく、「起きない状態をつくる仕組み」を整えているだけです。
ISOの視点で見ても、管理職がメンタルヘルスを正しく理解し、現場で適切に対応できる体制は、OSHMSを機能させる重要な要素になります。
もし、
- 管理職の対応に不安を感じている
- 制度はあるが現場で機能していない
- ISOの運用を一段レベルアップさせたい
そう感じた場合は、一度「管理職の学習」という視点から自社の仕組みを見直してみるのも一つの選択肢です。

